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ワーリング瞑想 -瞑想法の紹介-

どの宗教のなかにも、ちょっとメイン・ストリームからはずれた鬼っ子的な宗派があります。

仏教には禅という特異な流れがあり、ユダヤ教にはハシディズムという変わり者たちがおり、それぞれの主流派たちからすれば頭の痛い問題児たちのように扱われてきました。

しかし、現代になって、このような「真摯に自己の本質を追究する」技法をもった鬼っ子たちが、むしろ見直されているように思います。


イスラム教にもこのような鬼っ子集団がいて、彼らはスーフィー(Sufi)と呼ばれました。

宇宙船アポロ号のアームストロング船長が、月世界での神秘体験をえて、その後スーフィーに改宗したので一時有名になりましたが、スーフィーという宗派はイスラム教の予言者モハメッドが生きていたころからすでに存在し、イスラム教のなかに取り込まれながらも独自の手法と霊的体験を、師と弟子という東洋的な伝達法によって伝えてきた人たちです。

「壁に向かって語れ。そうすれば、扉が開くであろう」


彼らが用いる瞑想技法はおもにふたつあります。

ひとつは「ズイッキル」という呼吸法で、瞑想のリーダーに導かれながら、さまざまな異なった呼吸のリズム、強弱を変化させながら、大きなエネルギーの渦巻きのなかに自分を放り込んで、表面的な自己が消え去り、その下から現れてくる神性を体現する、という技法です。


もうひとつは、ここで紹介する「ワーリング(旋回)」と呼ばれる瞑想法で、一方の足を軸足にして、グルグル自分の身体全体を回転させるものです。

瞑想法としては、通常30ー60分に決められているようですが、スーフィーにおいては何時間もまわりつづけることも稀でなく、有名なスーフィーの師ジェラルディン・ルミは、一説によると38時間旋回しつづけてエンライトした人であるともいわれています。


スーフィーにおいてこのような精神的修行をし、その教えを広める人は、ダーヴィッシュと呼ばれます。


私もこの瞑想を何度か体験したことがありますが、たいへん強烈な瞑想法です。

ヴィパッサナ―瞑想が「静」の瞑想法なら、このワーリングは「動」の瞑想法だと言えましょう。

私がはじめてこのワーリング瞑想をしたときは、最初、目がまわるようなかんじで、頭がくらくらし、それから少し吐き気をかんじて不安になり、それから倒れたりしないかという思考があれこれとやってきて、なかなかワーリンク自体に集中できませんでしたが、ある瞬間からふっと静かに見守っている自己が現れ、台風のなかの中心にある青空と静けさの体験することができました。

そうすると、旋回しつづける身体と心は旋回がもたらす強烈なエクスタシーのなかにとどまり、そのエクスタシーとはまったく異質の観照者とのコントラストが、ひとつ独特の味わいを作りだしているようでした。


映画などでときどきこのスーフィーのワーリングが紹介されたりしますが、黒い長い帽子をかぶり、まっ白なローブを着たダーヴィッシュたちが、旋回するにつれ、スカートのようなローブの端がうつくしい曲線を描くのは神秘的であると同時にたいへん魅惑的でもあります。



ワーリング瞑想のやり方


一方の足を軸足にして、片方の手を上にあげ、あげたほうの手のひらを見ながら、旋回しはじめます。 回る方向は右でも左でもかまいません。

そのまま、目は開けたまま、30ー60分、回りつづけます。

瞑想のおわりのベルが鳴ったら、腹を下にして、うつぶせに横たわって、少し休みます。

ワーリング瞑想用の音楽CDなどがありますから、利用したらよいかもしれません。






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